「同居」は「シェアハウス」!? 「同居」を他の言葉で表すと、見方が変わる。

見方を変える。

すると、今まで感じていた世界がすこし変わって見える。

そんなことありませんか。

プラセボ効果を使った例

学生の頃、『プラセボ効果』(プラシーボ効果)について学習したことがあります。

プラセボとは、効き目がある成分が何も入っていない薬を飲んでも、患者さん自身が、自分の飲んでいる薬は「効き目がある」と思い込むことで、病気の症状が改善することがあります。

それを、プラセボ効果(プラシーボ効果)といいます。

医学的にも数多くの研究や実験が行われ証明されています。

プラセボを使った臨床試験が本格的に始まったのは、1960年代に入ってから。プラセボと知らずにそれを受けた被験者も症状が緩和したという例が相次ぎ、これがやがてプラセボ効果として知られるようになります。

痛み止めのプラセボ効果の例

痛み止めを処方されたと思っていたが、実際には本物の薬ではなかった。

けれども痛みはなくなった、そんな例です。

ロサンゼルス在住のIT起業家(37歳)も、最近そのような処方を受けた患者の一人だ。2021年11月、腰痛で整形外科を受診すると、仕事用の椅子を買い替え、首の運動をするよう医師から勧められた。しかし、ウィリアムズさんが痛み止めを処方してほしいとしきりに訴えると、医師はついに折れて処方箋を書いた。医師に勧められたことをすべて実行し、痛み止めも服用した結果、1週間で痛みがなくなった。「魔法の薬のおかげです」と医師に礼を言うと、そこで初めて薬はプラセボだったと告げられた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD06BJH0W2A700C2000000/(ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2022年7月1日公開)

「きっとよくなる」と願うことで身体も生理学的な反応を実際に起こし、治癒を促進しているのです。

さらに、ここ数十年の間に、最初から被験者にプラセボであることを知らせる「オープンラベル」(非盲検試験)の有効性を検証する研究で、症状が緩和したという結果が出ているのです。

つまり、偽物の薬だとはじめから知っていても効果があるということです。

患者さんの考えていることによって、効果が変わるのですね。

ストレスに対する考え方を変える例

ほとんどの人はストレスを悪いものだと考えています。

確かにストレスは病気の原因になり、心や体に悪影響を及ぼします。

ポジティブ心理学の第一人者のショーン・エイカーは、ストレスをネガティブではなく、ポジティブに捉えることで、人生がうまくいくようになることを見つけました。

ショーン・エイカーのストレス実験

彼はイェール大学の研究者、アリ・クラムとピーター・サロベイ、UBSの経営幹部と調査を行いました。UBSの380人のマネジャーを2つのグループに分け、それぞれに異なるビデオを見せました。

最初のグループが見たビデオは、ストレスの弊害を伝えるもので、以下のメッセージが含まれていました。
●1日に、およそ100万人の労働者がストレスに関連する症状で欠勤している
●ストレスが生殖、成長、免疫力に及ぼす悪影響は、人類の生存にとつて脅威とされている

2つ目のグループのビデオはまったく違う内容で、ストレスが脳の働きを活性化して、記憶や知能を高め、身体の負傷も回復が早まるというものでした。
●ストレスに反応して放出されるホルモンが、認知機能や記憶力を向上させる。認識領域が狭まることで注意力が増し、脳の情報処理速度が増す
●ストレスは身体の回復機能や免疫機能など生物学的プロセスにプラスに働くので、心理面の活力が増す
●ストレスや逆境は場合によつて、その人の精神的強さを増し、他の人々とのつながりを深め、優先順位を明確にさせ、生きる意味を確かなものにする、いわゆる「外傷後成長」をもたらすとされる

その実験から1週間後、2つのビデオが参加者たちのストレスレベルにどのように影響したかを見るために、いくつかの方法を用いて評価を行いました。

ストレスのプラス効果を強調したビデオを見たグループでは、ストレスにまつわる頭痛、腰痛、疲労感などの身体的症状が、23パーセントも軽減しました。さらに生産性が30パーセント近く上昇したのです。

つまり、ストレスに対してポジティブなマインドセットを持つことで、結果をよくできるのです。

『同居』に対する「見方・考え方」を変える

『同居』という言葉も同じ。

『同居』という言葉だけで、多くのお嫁さんは嫌なイメージに思い込んでしまいます。

沸々とあふれ出る嫌な感情。

すると、過去のムカついた体験を思い出し、イライラしたり、憂鬱に感じたり、同居じゃなかったら、と同居解消を願ってしまったり。

そこで、見方を変えてみる。

「マインドセット」や、「ポジティブシンキング・思考」とも変換できます。

『同居』と言わずに、『シェアハウス』と思ってみるのです。

シェアハウスとは

 シェアハウスとは、一つの住居に複数人が共同で暮らす賃貸物件を指す和製英語。一般的にはキッチンやリビング、バスルームなどを共同で使用し、プライバシー空間として個室を利用する。

シェアハウスが認知されはじめた2000年代〜現代

「安いほうがいい」「楽しいほうがいい」「集えるほうがいい」そうした住まいのニーズは、長屋文化があるように日本に古くから存在していました。

でも、集まって住むことにはデメリットもつきもの。

こうした居住スタイルは、戦後あまり一般化しなくなりました。

しかし近年では、

『シェアハウス』がTVドラマやバラエティー番組、雑誌などで多く取り上げられるようになり、日本でも広く浸透しはじめています。

また、2011年の東日本大震災以降、「人とのつながり」を求める動きが活発化してきました。

見方を変えると、同居に対する感情がやわらぐ

『シェアハウス』と思えば、「一人ひとり個人が集まり共同生活をする」とい

うシンプルな構造に見方が変わります。

ここは「シェアハウス」!だからいろんな人とモノやコトを共有しているんだ、と考えることができる。

誰だって一人きりになりたいときはあるし、反対に誰かがいて自分も一緒に参加したいときもある。

一緒に暮らしていても、それぞれ好きなようにすればいい、と思える。

一方、『同居』となると「家族」という枠内で生活することになる。「家族」という言葉だけでくくられ、「家族」なんだからと許してしまうこともある。

本来、一人ひとり個人が集まっている暮らし。

プライベートと共同生活をどのように構築していくかが問題で、とても重要なこと。

根底には、人は一人では生きていけなくて、誰かの支えを必要としています。

しかし時にはその共同生活によって起こる問題ももちろん出てくる。

『同居』の課題はたくさんだけれども、

見方を変えて『シェアハウス』と思うだけで、気持ちが軽くなったりイメージがいい方向にいくならば、それは嬉しい効果です。

考え方を変えられるのは、「自分」ですから。